茶道とは、茶碗を季節で使い分け、日本の四季を愛でる伝統文化
- 茶道具
- 2018.10.29
茶道は、季節や季節感をとても大事にしています。それは、茶碗によって茶室の季節感を演出するという事に繋がり、その時間をより良い物へとするという、日本人のおもてなしの精神を表すものだからです。
今回は、茶道での茶碗の使い分けや、茶碗が重要なファクターとなる理由について紹介していきます。
茶道においての茶碗
茶碗というのは、元来お茶を飲むための食器を指し、奈良や平安時代にお茶と一緒に日本へ入ってきました。
茶室の設えを季節感のある物、たとえば「風炉」や「炉」でも季節を感じさせ、春ならお菓子も桜の香りを漂わせ、6月などは紫陽花なども飾られます。秋ならススキも風情がありますね。
このように、茶室の中に季節感の演出をする一環に茶碗もあるのです。
茶碗の「格」とは
「一楽、二萩、三唐津」というのを聞いたことはありますか?
これは、いわば茶人御用達の焼き物産地のランク付けです。
一般的にはこれに井戸茶碗を加えたものが、格上という風に言われています。さらに、無地が良いとされますね。絵付きの物はランクが下がると言われますが、あくまで基本の考え方だとか。
古いものはやはり珍重され、有名な陶芸家や茶人の作品であったり、家元の書付きなどは格が高いとされることもあるため、一概には言えないという側面もあるようです。
また、濃茶では格の高い茶碗が好まれるようで、楽、萩、唐津、井戸などがいいともいわれます。千家では楽茶碗が好まれるといわれますが、他の流派の場合は、使われ方が異なる場合もあります。
薄茶に関しては、とくに格などを意識する必要はないとされています。
茶碗と季節
茶碗は季節を写し取るために必要な茶道具ですので、夏は涼しげに、冬は暖かく見せるという事が大事になってきます。夏は涼しげな平茶碗が好まれますし、冬は冷めるのを少しでも緩やかにするために筒茶碗を使うなど、季節を演出するという事を第一に考えて選ぶといいですね。
そして、茶碗に描かれた絵柄も演出にはかかせません。桜やススキなど植物は季節を色濃く感じさせるので、季節外れなどは気を付けるようにしないといけません。
花が描かれている茶碗には、もう一つ気を付けることがあります。季節を先取りする、という考え方です。
一番の見頃、盛りの時期をあえて外すという事ですね。なぜかというと、「本当に綺麗な見頃の花には、到底敵わないから遠慮する」という精神からだいいます。とても日本らしい、一歩引いた奥ゆかしいと感じられる考え方で、茶道の心遣いを感じさせる配慮と言えますね。
茶室のしつらえ、茶道具、お菓子、茶道の精神はおもてなしの心が大事だと改めて考えさせられます。
千紀園スタッフ 2018.10.29
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