茶道で還暦のお祝いをするなら「菊」「蟹」が喜ばれる
- 茶道具
- 2020.7.20
日本文化が見直されていることもあり、若い人たちの間で茶道を楽しむ人が徐々に増えつつあります。
茶道にはそれにまつわるさまざまな道具があり、いろいろな意味が込められていることも多いものです。
若い人たちの中には、お茶会のときに添えられているお菓子が大好きという人も多いのですが、そんなお菓子にも意味が込められているのです。
還暦とは十干十二支が一周すること
茶道を習っていると、お世話になっている茶道の先生やお知り合いの中に、還暦を迎えるという方もいるでしょう。
日本の暦というのは十干十二支(じっかんじゅうにし)で構成されていて、一回りするのに60年かかる計算です。
還暦はこの暦が一回りしたことを表していて、自分が生まれた暦にもう一度戻って新しく人生を出直すことができるとも言われているのです。
もちろん日本古来の文化である茶道にも、こうした十干十二支を大切にする風習があります。
そのひとつが還暦のお祝いです。
ただ茶道における還暦のお祝いは、よく勉強していないとわからないこともあります。
華甲を祝う
還暦は60歳のお祝いのことを指していますが、同じように77歳は喜寿、88歳は米寿と言い換えることができます。
これと同様に、茶道では還暦のことは「華甲」(かこう)と表現するのです。
喜寿は「喜」という漢字を草書体にすると七十七と見えることから、米寿は「米」という漢字を分解すると八十八となることから、そう呼ばれるようになったといわれています。
同様に「華」という字をひとつひとつ分解していくと、6つの十とひとつの一から成り立ってることに気づきます。
昔は還暦も数え年で祝うことが一般的であったため、61を表す華という文字を還暦に置き換えたのだといわれているのです。
また「甲」の字は十干十二支の一番最初である甲子(きのえね)を指しており、華甲は還暦を表す言葉として茶道で広く使われるようになったのです。
華甲のお祝いは菊や蟹をあしらう
還暦を表す言葉が「華甲」であるということはわかったところで、華甲のお祝いの時にはどういったお菓子を準備すればいいのでしょうか。
茶道におけるお菓子は季節を表すことが多いです。
例えば、春ならば桜を模ったもの、秋ならば紅葉を表現したもの、といって季節を表すお菓子を用意します。
ほかにも特別なお祝い事には、それに合わせたお菓子を用意する習わしがあるのです。
華甲のお祝いでは、菊の花や亀の甲羅をモチーフにしたお菓子や茶器が用意されます。
還暦にふさわしい「華」は、やはり長寿を意味する菊であり、「甲」は蟹の甲羅を連想することができることから、華甲のお祝いの席ではこのふたつのモチーフが用いられることが多いのです。
もし還暦の贈り物を考えているのであれば、菊や蟹をあしらった道具やお菓子を用意すると喜ばれるのではないでしょうか。
千紀園スタッフ 2020.7.20
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