香合(こうごう)

2017.11.19

用語集テンプレ

香を入れる容器を、香合といいます。

元来は「香盒」と書きました。「盒」には、身と蓋を合わせる容れものという意味があります。
盒子(ごうすとも)も現在では「合子」と書きます。
したがって香合は、香を入れる蓋ものの容器ということになります。

中立ちを伴う正式の茶事では、初座と後座でそれぞれ炭手前をします。
いずれも火相を調えるためのものですが、このときに香をたきます。
心身を清め、席中の空気を清め、さらに炭の臭気を消す効果も勘案されているのです。

そして、初炭手前では、香合を拝見に出します。
濃茶や薄茶の点前で拝見に出される道具は、通常は茶碗・茶杓・茶器(仕覆)のいわゆる三器ですが、炭手前においては、香合だけが拝見に出されます。

また、炭手前を略す場合は、古帛紗や紙釜敷に載せて、床の間や待合などに香合が荘られます。

いわば炭道具の代表というわけです。
それだけに、この小さな容器が道具の取り合わせに占める比重は、大きなものがあるともいえましょう。

風炉と炉では、たかれる香が異なります。
風炉の季節には伽羅や白檀などの香木が、炉の季節には粉末の香料を蜜などで練り合わせた練香が使われます。
香合も、風炉と炉で大きく異なります。
すなわち風炉の季節には漆器や木地の香合が、炉の季節には陶磁器の香合が用いられます。

風炉用の香合は、堆朱や堆黒、紅花緑葉、螺鈿などの唐物と、蒔絵のあるものや鎌倉彫、また木地などの和物に大別されます。
炉用の香合は、唐物はもとより、高麗物から宋胡録、和蘭(阿蘭陀)、南蛮まであって実に多彩で、さらに和物でも各地の国焼や御庭焼をはじめ、樂歴代、また仁清、乾山にも作品が残されています。
また、いわゆる「型物香合」と称されるものや、歴代家元の好み物も多く、あらゆる茶道具のなかで素材・意匠ともに最も多様とされるのも、うなずけるところです。

ところで、江戸時代中期の宝暦七年(1756)、江戸相撲が縦一枚刷りの相撲番付を発行してから、「変わり番付」というものが大いに流行し、明治ごろまで続いたといいます。

全国の風景や名所、特産物から、学者・武者芸、流行語の比較番付まで、あらゆる分野にわたり、百科事典的な役割も果たしました。
茶の湯の世界でも、安政二年(1855)に二百数十種の香合を位付けした「形物香合相撲」という番付がつくられています。
その背景には、香合の多彩さ、多様さがうかがわれます。

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 2017.11.19

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