茶杓の銘など、夏に使われる茶の湯の銘(5月・6月・7月)
- 茶道具
- 2018.7.11
「お茶杓の御銘は?」日常のお茶のお稽古でもよく口にする言葉です。
茶の湯の銘の由来としては、
①所持者の名前
②道具の形状や景色を何かにたとえたもの
③道具のいわれをことばにしたもの
④洒落や機知からつけたもの
などに大別されます。
②の場合は季節の風物、またそこから連想されることばにたとえられることが多く、小堀遠州が道具の印象から古歌を引いてつけた歌銘が代表的です。
ここでは、すでに茶の湯の銘として使われていることば、また、自分が手にしたお道具に銘をつけるときに使ってみたいことばを、季節ごとにまとめています。
5月から7月、夏全般でお使いいただけます
八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から数えて88日目、新暦5月2、3日頃をいいます。
八十八夜の別れ霜
この日を過ぎると田畑に霜が降りないので、この頃から農家では種まき、苗植え、茶摘みを始めます。宇治茶の茶摘みは5月10日頃から始まります。
半夏(はんげ)半夏生(はんげしょう)
七十二候の一つ、夏至から11日目で、新暦7月2日頃にあたります。漢方薬になるカラスビシャクの別名でもあります。
半夏雨(はんげあめ)
この日に降る雨を半夏雨といい、大雨が続くといわれていました。
涼一味(りょういちみ) 涼涼(りょうりょう)
夏の暑さのなか五感で感じる涼気と、その表現です。
「南方録」が教える利休のことば「夏はいかにも涼しきように、冬はいかにも暖かなるように」の通り、夏の茶席では涼一味の心遣いと演出が眼目となります。
秋の隣 秋隣(あきどなり)
夏の暑さも一段落して、秋が近くなってきた頃のことばです。
天候・気象に関連する御銘
三伏(さんぷく)
酷暑の時期をいいます。夏至の後の第三庚(かのえ)の日を初伏(しょふく)、第四庚を中伏(ちゅうふく)、立秋後の第一庚を末伏(まっぷく)といい、三つをあわせて三伏になります。「三伏の秋」は旧暦6月の異称で、三伏が終わりに近づく月の意味です。
炎天(えんてん) 炎昼(えんちゅう) 炎陽(えんよう)
朝涼(あさすず)
真夏の早朝など、思いがけなく涼しい日のことです。
梅雨寒(つゆざむ)
片影・片蔭(かたかげ) 緑蔭(りょくいん) 木下闇(こしたやみ) 碧雲(へきうん) 雲海(うんかい)
雲の峰(くものみね)
白く大きな雲が青空にぐんぐんのぼっていくようすです。太陽の日差しが強い時に、積乱雲で生じる現象です。
薫風(くんぷう)
風薫る
颯々(さつさつ)
風が吹きわたるさま、またその音を表現したことばです。謡曲「高砂」に「相生の松風、颯々の声ぞたのしむ」とあります。
青嵐(あおあらし・せいらん)
初夏の新緑から若葉の頃、青々とした林や野山を力強く吹き抜けてくる、少し強めの風のことです。青々とした山、の意味もあります。
晴嵐(せいらん)
晴天の日に霞がかかった状態、または晴れた日に起こる風をいいます。近江八景の「粟津の晴嵐」が有名です。
あいの風 東風(あゆ)あゆの風
風の名前として、春の東風を「こち」、夏の東風を「あゆ」、夏の南風を「はえ」、北風と西風は「きた」「にし」、また山から吹く風を「やませ(山背」、陸から海に向けて吹く風を、舟を出す意味で「だし」と呼んでいます。
朝凪(あさなぎ)
若葉風(わかばかぜ) 青葉風(あおばかぜ) 若葉雨(わかばあめ) 青葉雨(あおばあめ)
卯の花腐し(うのはなくたし)
卯の花すなわちウツギ(空木)が白い花を咲かせる頃に降り続く長雨のことです。
五月雨(さみだれ・さつきあめ)
五月雲(さつきぐも) 五月闇(さつきやみ)
梅雨(つゆ・ばいう) 青梅雨(あおつゆ) 入梅(にゅうばい)
梅の実が黄熟する頃に降り続く雨、またその時期をいいます。
驟雨(しゅうう) 白雨(はくう)
夏の夕方に降るにわか雨、夕立のことです。暴風雨を表す語に「黒風白雨(こくふうはくう)」があります。
雨宿(あまやどり)
喜雨(きう)
日照りつづきで万物が枯れてきた頃、ようやく恵まれる本格的な雨をいいます。
雨祝(あめいわい) 雨休(あめやすみ)
夏の露 露涼し
氷雨(ひさめ)
初夏に雷雨とともに降る雹(ひょう)のことです。
海霧(うみぎり・かいむ・じり) 霧笛(むてき) 短夜(みじかよ・たんや) 夏の月 月涼し
千紀園スタッフ 2018.7.11
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