大棗 武蔵野蒔絵 内銀地 呉藤穣太郎

茶道を始めるなら、棗の基本的知茶識や選び方を知っておこう!

茶道具
2018.11.13

棗(なつめ)は抹茶を入れておく容器であり、茶道における代表的な茶器の一種です。
そして色や形状あるいは柄などが多岐にわたり、お茶の種類によっても使い分けが必要になります。

今回は茶道を始めたばかりの人にでも最適な棗を選べるように、棗の基本的知識や選び方について紹介していきます。

棗と呼ばれる理由などについて

棗は茶道において抹茶を入れておく容器です。

本来「棗」とは植物のナツメの実を指しますが、茶器で呼ばれるようになったのも、まさにその形状がナツメの実に類似していたからです。
なお、棗に入れる抹茶の種類は決まっており、鮮やかな青緑色をした薄茶に限定されます。

薄茶器(棗)

これに対し、濃茶と呼ばれる黒味を帯びた抹茶の場合には、陶器製の「茶入」が用いられます。
棗の素材としては、木地をはじめ竹や象牙がほとんどです。
ただし稀に、焼き物を使用している場合もあります。

茶入(ちゃいれ)

また、棗は表面は漆塗りが一般的であり、柄はシンプルな無地から凝った絵巻物まで多種多様です。

まず棗の形状から種類を見分ける

一口に棗といっても、その形状については細かく分類することができます。

まず、スケールごとに、大棗(おおなつめ)・中棗(ちゅうなつめ)・小棗(しょうなつめ)に分けられます。
さらに、平棗(ひらなつめ)と呼ばれる、碁笥のように全体が平べったいものもあります。

大棗 (おお なつめ)

中棗 (ちゅう なつめ)

平棗 (ひら なつめ)

この他にも棗とは形状がやや異なる、円筒状の中次形(なかつぎがた)と呼ばれるものがあります。
その中次型のなかには、蓋と本体の合わせ目が中央部にある真中次(しんなかつぎ)や、蓋の縁の部分を面取りした面中次(めんなかつぎ)。
あるいは、面中次の蓋が浅くなった茶桶(ちゃおけ)や、その茶桶の本体の底部分までを面取りした、雪吹(ふぶき)と呼ばれるものまであります。

棗の塗や装飾からも種類を見分ける

棗の多くはシンプルな漆塗りが基本です。
ただし時代ごとに色や装飾が多様化し、結果的に種類も多くなりました。

まず初期の頃は、黒塗(くろぬり)と呼ばれる、黒漆で仕上げた漆器がメジャーでした。
ちなみに、本体全てが無地黒塗のものを、真塗(しんぬり)と言います。

そして、次に溜塗(ためぬり)が登場します。これは本体に朱色の下地塗りを行い、その上から半透明の透き漆(すきうるし)で仕上げたものです。溜塗の魅力は使い込むほど下地の朱色が味わいを見せ、その変化を楽しめることです。

時代が進むにつれて装飾も凝るようになりました。
その象徴が一閑張(いっかんばり)です。
これは中国の明から日本に亡命してきた、飛来一閑が広めた技術と言われ、名前の由来にもなっています。
木地に和紙の貼り付けと乾燥を何度も繰り返し、一定の厚みになると描いた模様や絵の原型を抜き取ります。
さらに、その上から漆や渋柿を塗って完成させます。
細かい装飾が可能で、彩りも豊かな点に特徴があります。

最後に紹介するのは蒔絵(まきえ)です。
直接本体に漆で色付けや絵付けを行い、漆が乾かないうちに金粉や銀粉を施して完成させます。
漆器塗りの中でも沈金(ちんきん)や螺鈿(らでん)と並び、代表的な加飾技法として知られます。

デリケートな抹茶だからこそ、棗は慎重に選ぶべき

抹茶は温度や湿度の変化に敏感なので、保存次第では急速に劣化が進みます。
これを防ぐためには適切な茶器を選び、取り扱いにも細心の注意を払う必要があります。

この点、棗を選ぶのであれば、合口がピッタリと揃った密閉性が高いものを、しっかり見抜くことが大切です。
その上で、色合いや装飾の精巧さなどを見て、雰囲気や味わいを感じ取れるようになれば理想的でしょう。

くれぐれも値段の高さや安さだけで判断しないように、普段から茶器について学ぶ姿勢を保ち続けることが重要です。

 

 

 

 2018.11.13

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